おなかのハリを解決!

おなかが張ると、人前でおならが出そうになったり、痛みなどの不快感を伴ったりして、QOL(生活の質)を著しく下げてしまいます。
おなかに関する最新の知見からハリの原因を知り、一人ひとりに合ったセルフケアを実践していきましょう。

国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長

水上 健 先生

みずかみ・たけし 1965年福岡県生まれ。90年慶應義塾大学医学部卒業。医学博士。横浜市立市民病院内視鏡センター長などを経て、2011年より現職。慶應義塾大学非常勤講師(便秘外来担当)。専門は大腸内視鏡検査・治療、過敏性腸症候群(IBS)・便秘の診断・治療。開発した無麻酔大腸内視鏡挿入法「浸水法」は国内外で広く導入されている。著書に『慢性便秘症を治す本』(法研)、『女はつまる、男はくだる おなかの調子は3分でよくなる!』(あさ出版)など。

Q1なぜ、おなかが張るの?

A. 主に空気の呑み込みなどによるガスだまりが原因です。

おなかのハリは医学用語では「腹部膨満感」といいます。そのほとんどは腸内にガスがたまることで起こり、次の2つのタイプがあります。

1つは口から大量の空気を呑み込むことで起こるもので、無意識のうちに空気をたくさん呑み込んでしまう状態を「呑気どんき症」と呼びます(Q2参照)。つばを頻繁に呑み込んだり、早食いしたり、よくかまないで食べたりすることで呑み込む空気が多くなり、ガスだまりにつながってしまうのです。

もう1つは、腸内環境や腸の働きに問題があるタイプです(Q3参照)。便秘や食物繊維の摂り過ぎ、消化不良などは腸内の異常発酵を招いてガスを発生させる原因となります。女性の場合はホルモンの変動にも影響され、月経前は腸の働きが低下し、おなかのハリが現れやすくなります。

ガス以外でも、便秘で腸内に便や水分がたまってハリが起こっているケースもあります。実際は、これらに腸の形、姿勢、運動習慣といった要因が絡み合って「ハリ」感が生じます。また、消化器の病気や子宮筋腫などの婦人科系の病気でおなかが張ることもあるので、気になる症状が続く場合は医師の診断を受けるようにしましょう。

Let's Try! Let's Try! あなたの「ハリ」タイプは?

正確な診断のためには腹部のレントゲン検査等が必要ですが、1日の中でどの時間帯にハリを感じるか、食事の内容によって変わるかなど、症状の起こり方からある程度原因を推測することが可能です。

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