積極的に治す!サヨナラ筋肉痛

筋肉痛はなぜ起こる?

筋肉痛は運動によって引き起こされた筋肉の痛みです。一般に「筋肉痛」といわれるのは、運動した翌日以降に筋肉が痛む「遅発性筋痛」をいいます。

意外な落とし穴?!
筋肉痛水分の関係

宮川俊平先生は「筋肉痛には、運動する時間の長さや負荷に対する筋肉の耐久性が関係している」と言います。例えば、普段まったく運動をしていない人が急にテニスをして、コートで1時間ボールを追ったとします。おそらくその人は筋肉痛になってしまうでしょう。あるいは、1時間くらいの練習では筋肉痛にならない人が、2時間、3時間とハードな練習をして筋肉に負荷をかければ、やはり筋肉痛になるかもしれません。筋肉にその運動を長くし続けられるだけの耐久性がなかったり、普段よりも大きな負荷がかかったりした場合に、筋肉痛になると考えられます。

では、どのようなメカニズムで、痛みが引き起こされるのでしょうか。

「まず、負荷をかけたことにより筋線維がミクロの損傷を受けます。それが炎症を引き起こし、痛みの原因になります。筋肉痛が回復すると、傷ついた筋線維は以前より少し太くなります。つまり、定期的に筋肉が少し痛む程度の負荷をかければ、筋肉は少しずつ鍛えられ、耐久性がつくともいえます」。ただし、筋肉痛にならなくても、筋肉は定期的な刺激によって鍛えられていきます。

痛みが引き起こされるもう1つの原因が、脱水による筋肉内の循環不全です。運動中は発汗によって水分が失われ、体内の血流が減少します。この血流の減少が酸素不足や代謝産物の蓄積を招き、負荷をかけた部分が凝ったように硬くなってしまいます。それにより、痛みが生じるのです。

「運動前や運動中、水分を十分に摂取するかしないかが、筋肉痛の発症に大きくかかわってきます」と宮川先生。脱水は筋肉だけでなく体全体にも悪影響を及ぼすので、特に夏は注意が必要です。

筋肉痛2つの原因

筋線維のミクロの損傷

同じ筋肉を酷使したり、普段使っていない筋肉をいきなり使うことで筋線維に傷がつくと、周囲に白血球やリンパ球などが集まり、損傷した細胞を修復する炎症反応が起こります。それが知覚神経を刺激して痛みを発します。

  • 損傷 筋線維束 筋線維

    筋肉の酷使などにより、筋線維にミクロの傷がつく。

  • 腫れる 白血球

    傷ついた筋線維を修復するために、血管が拡張して白血球やリンパ球などが集まる。

  • プロスタグランジンなどの痛みや炎症の原因物質

    損傷した細胞を分解し、新たにつくりだす「炎症反応」が起き、その時、生産されるプロスタグランジンなどの物質が痛みを引き起こす。

脱水による循環不全

運動すると脱水するため、血行が悪くなり、組織が酸素不足に陥る。さらに周囲の細胞から放出された代謝産物が蓄積。すると筋収縮・弛緩(しかん)が部分的にうまくいかずに一部「筋硬結(凝って硬くなった状態)」になり、そこが他の筋肉に引っ張られて違和感や痛みを感じます。また代謝産物の刺激も痛みの原因となっています。

  • 筋線維 「筋硬結」が起きる
  • 筋横断面積(筋肉量)は加齢とともに減っていく。筑波大学大学院 久野研究室調べ

筋肉量の性差と年齢変化

性ホルモンの違いから、男女では骨格筋量に差が出るとされています。筋肉量の増加を促すテストステロンは男性ホルモンで、女性の血中テストステロン濃度は男性の約20分の1。男性ホルモンがタンパク質の合成を促すのに対して、女性ホルモンは体脂肪の合成を促す働きをもちます。そのため、女性は男性より筋肉がつきにくいといわれています。また、男女共、筋肉量は20代をピークに減少します。

関連記事