エイジングと生活習慣病対策に! 今から始める血圧ケア

血圧を乱さない毎日の心がけ

減塩をはじめ、血圧をケアするライフスタイルは血圧以外にも様々な健康効果をもたらします。無駄に塩分を摂り過ぎてはいませんか? 自身のライフスタイルを見直してみましょう。

血圧が正常な人にも減塩して欲しい理由

「血圧のために一番に変えるべきは食習慣。濃い味つけに慣れ親しんだ味覚の修正が必要です」と渡辺先生。今、日本の成人の食塩摂取量の平均値は男性が11.3グラム、女性が9.6グラム。一方で、日本高血圧学会が推奨する1日の適正な食塩摂取量は6グラム未満ですから、多くの人が今より減塩する必要があるといえるでしょう。

「6グラムを達成するには、例えば刺身なら、つけるのはわさびだけ。しょうゆ味でごまかさずに、素材本来の味をいただくのです。すると、自然と新鮮で質のよい物を選ぶようになります。塩分でごまかして食べていた物が多いことにも気づきます」。

減塩は血圧が正常な人も取り組むべきと先生は言います。「減塩すると体内のカルシウム排出量が減り、骨粗鬆症の予防になることが分かっています。胃がんの発症率も低くなる。そして、実はダイエット効果もあります。丼1杯の白いごはんをそのまま食べるのは無理でも、塩分のあるお茶漬けならサラサラと食べられてしまうもの。塩分は食べ過ぎのもとなのです。塩分でごまかさない食生活を続けると、自然とダイエットにもつながります」。

ここでは食生活も含め、先生おすすめの血圧改善習慣をご紹介します。

厚生労働省「平成24年国民健康・栄養調査」

渡辺式「けつあつていか」7カ条

  • け
  • 決してたばこは吸いません

    たばこを1本吸うと、10~20mmHg血圧が上昇。吸い続けると動脈硬化につながるだけでなく、肺がんや喉頭がんの原因にも。

  • 1本で10~20mmHgアップ
  • つ
  • 強い血管をつくりましょう

    血管は加齢と共に弾力性が失われていくもの。青背魚に多く含まれるEPAやDHAという不飽和脂肪酸は血管を強くするのに有効。また、タンパク質やカルシウムも血管を強くしてくれるのでしっかり摂ろう。

  • チーズや魚
  • あ
  • 熱いお風呂は入りません
    寒い思いはいたしません

    42℃以上の熱いお風呂に入ると、血管が収縮し、血圧が上昇。冬場は40~41℃が適温。浴室との温度差をつくらないためにも、脱衣所は寒くならないよう注意しよう。

  • 40~41度のぬるめのお湯でゆっくりと
  • つ
  • 常に気分をリラックス

    イライラしたり、緊張したりしている時はゆっくりと深呼吸。鼻から息を吸い、口から吐き出すことで血圧は30~40㎜Hgも下がる。

  • 深呼吸している様子
  • て
  • 適度な塩分、たっぷり野菜

    1日の食塩摂取量は6g未満に。野菜や果物、海藻類には、塩分を体外に排出してくれるカリウムがたっぷり。積極的に摂取を。

  • 6gは小さじ山盛り1杯程度
減塩はメリハリをつけて行おう

渡辺先生いわく「減塩を成功させるにはメリハリが必要」。先生が提唱する「反復1週間減塩法」は、ひと月のうち1週間だけ徹底して減塩することを繰り返し行う。すると、減塩週間を終えて濃い味の物を食べる時に、塩辛さを感じるように。味覚の修正を徐々に行い、最終的には減塩が定着する。

  • い
  • いつでも歩いて出かけましょう

    おすすめは有酸素運動。1日1万歩以上歩く人は2000歩の人と比べ、血圧が低いことが分かっている。激しい運動は血圧を上げてしまう。

  • 歩いている様子
  • か
  • 快眠・快便・腹八分

    血圧が最も下がるのが睡眠中。睡眠不足は血圧の高い時間を長くすることに。排便時のいきみも血圧を上げやすいので、便秘を防ぐことも大切。

  • 血圧には7時間前後の睡眠がGOOD!

すぐに実践!押して、たたいて血圧ケア

既に血圧が高めの人にも効果を発揮する、渡辺先生オリジナルのマッサージ&手軽なツボ押しをご紹介します。今日から早速始めましょう!

いつでも、どこでもできるおすすめのケア

血圧ケアにおすすめなのが、先生が考案した「渡辺式ふくらはぎパンパン法」。名前の通り、ふくらはぎをたたくだけという簡単さで、どこでも、誰にでもできるのが特徴です。さらに、もっと手軽なのが、手の甲にある「合谷」というツボを刺激する方法。通勤時の電車の中でもでき、血圧を下げる効果だけでなく、気分のリフレッシュや、肩こり解消にも役立ちます。

渡辺式ふくらはぎパンパン法

ふくらはぎは「第二の心臓」といわれるように、下半身の血液を心臓に戻すポンプの役割をしている。ふくらはぎの血流をよくすることが、血圧のケアに有効。ふくらはぎを「もむ」方法が注目される中、それよりも力いらずで簡単な「たたく」方法を紹介。

体育すわりをしてふくらはぎを手のひらでたたく

1

ふくらはぎの側面を両手で挟むようにし、手のひらの親指のつけ根あたりを使い、痛いと感じるくらい強めにたたく。

手のひら、親指のつけ根
↓

2

ふくらはぎは、手をグーにし、手の甲側で強めにたたく。

両脚で5分程度お風呂上がりに行うのがおすすめ

合谷(ごうこく)指圧

手の甲側の親指と人さし指の骨の合流点よりもやや人さし指寄りにある「合谷」というツボは、肩こりや疲労感など様々な不調によいとされる万能ツボ。血圧を下げる効果も。

合谷(ごうこく)
椅子に座って合谷(ごうこく)指圧をする様子

逆の手の親指で3~5分ほど強めの刺激を与える。イタ気持ちよいくらいで。

家庭での血圧の測り方

医師や看護師の白衣を見ると、緊張や不安から一時的に血圧が上がる「白衣高血圧」と呼ばれるタイプもあるように、血圧はちょっとしたことで上下するもの。「血圧は健診や病院の検査で測るだけでは十分とはいえない」と渡辺先生。40歳以降は、家庭で血圧を測る習慣をもち、自身の血圧の状態を把握しておこう。

2回測る

逆の手の親指で3~5分ほど強めの刺激を与える。イタ気持ちよいくらいで。

冬に気をつけたい家の中の温度差

ますます寒くなるこれからの季節に注意したいのが、急激な温度の変化です。

「皆さん、冬に外から帰ってきた時、玄関でコートを脱いでから部屋に入り、暖房のスイッチをつけていませんか? 血圧は気温の変化に影響を受けやすいもの。この習慣は急激な温度差により血圧の急上昇を招き、脳卒中につながりかねません。コートは脱がずに部屋に入り、暖房のスイッチを入れる。そして部屋が暖かくなってからコートを脱ぐのが正解です」。

同じく、冬場の浴室やトイレは、脳卒中の危険地帯。お風呂は浴槽のふたを外し、浴室が暖かくなってから服を脱いで入る、脱衣所やトイレには小さな暖房器具を置いて暖めておくなどし、家の中になるべく温度差をつくらないよう工夫しましょう。

冬の「温度差」解消法

冬は家の中の様々な空間で温度差が生じやすい季節。血圧上昇を防ぐには、いつもの習慣を見直すことも必要。

コートを着たままエアコンをつける

外から帰ったら、コートは脱がずに暖房をつけよう。コートは部屋が暖かくなってから脱ぐ。

浴槽のふたを開けておく

お風呂に入る時は、浴槽やシャワーの湯気で浴室を暖めてから服を脱いで入る。脱衣所も暖かく。

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