賢く摂って美しく 鉄の働きと美容
鉄はコラーゲンの合成に関係しているの?
A. 鉄はコラーゲンの合成に欠かせません
鉄はコラーゲンの合成にも必要な栄養素です。コラーゲンは、皮膚だけでなく、髪や目、筋肉、血管壁、骨など、私たちの体の組織のあらゆる部位に含まれ、体をつくる上で欠かせない線維性のタンパク質です。コラーゲンは特に皮膚や髪などに多く含まれているため、美容に欠かせない物質とされています。
コラーゲンはタンパク質でできていて、合成の際に十分な酸素が必要で、鉄とビタミンCは重要になります。鉄が体内に十分あることは、コラーゲンの合成、美容に有効といえます。
コラーゲンの構造
コラーゲンはタンパク質がらせん状に集まり形成されている。合成の際には鉄とビタミンCが必要。
コラーゲンと骨粗鬆症
-
骨はコラーゲンとカルシウムが1対1の割合でできています。骨の構造を鉄筋コンクリートの建物に例えると、コラーゲンが外力を吸収する鉄筋、カルシウムがコンクリートのような役割を果たしています。骨粗鬆症の予防にはカルシウムを摂って骨密度を増やすと同時に、コラーゲンで骨質を高めることが必要です。
女性が鉄不足になりやすい原因は?
A. 月経や出血、偏った食生活が原因です
女性に鉄不足の人が多い理由は、次の通りです。
●月経……月経による出血で毎月定期的に鉄が排出される。
●出血性の病気……子宮筋腫や子宮内膜症などが原因で、月経時の出血量が増えることや、痔などの出血で鉄が不足する場合もある。
●ダイエットによる偏食……食事から摂る鉄が不足する。
●加工食品を多く摂る……加工食品に添加物として使用されているリン酸カルシウムは、鉄の吸収を妨げる性質がある。そのため加工食品やインスタント食品を多く摂ると、効率よく吸収できなくなる。
気づかぬうちに進行する鉄不足
-
鉄は、血液中だけではなく肝臓や脾臓にも貯蔵されています。各組織で鉄が不足すると、まず肝臓や脾臓に貯蔵されている鉄が消費されます。それでも足りない場合は血液中の鉄が消費されていきます。そのため、鉄の摂取量が少なくても貯蔵分があるうちはすぐに鉄不足の症状が出るわけではありません。鉄不足は気づかぬうちに少しずつ進行していくのです。
女性が鉄不足になる原因
-
月経
-
出血性の病気
-
ダイエットによる偏食
-
加工食品を多く摂る
タンパク質不足でも貧血に
女性はダイエットにより糖質や脂質を摂る量を減らすことも多く、エネルギー不足により体内のタンパク質がエネルギーとして消費されてしまいます。すると体内に鉄が足りていても、タンパク質が不足することでヘモグロビンやコラーゲンを合成することができなくなり、貧血や肌荒れなどの症状が現れるようになります。
1日に必要な鉄の摂取量は?
A. 月経のある女性は1日10.5ミリグラムです
「日本人の食事摂取基準」によると、1日に必要な鉄の摂取量は成人男性で7.0〜7.5ミリグラム、成人女性で6.0〜6.5ミリグラムとされています。ただし月経のある女性は出血により鉄が失われるため、10.5ミリグラム必要になります。
妊娠、授乳期には、子どもの分まで栄養が必要なので、鉄も通常より多く摂取しなければなりません。下の表に加えて、妊娠初期や授乳中は2.5ミリグラム、妊娠中期から後期は15.0ミリグラム多く摂ることが推奨されています。
鉄の食事摂取推奨量(mg/日)
-
年齢(歳) 男性 女性 月経なし 月経あり 18~29 7.0 6.0 10.5 30~49 7.5 6.5 10.5 50~69 7.5 6.5 10.5 70以上 7.0 6.0 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」