肌トラブルを回避!正しい紫外線ケア
紫外線は体にどのような影響を及ぼすの?
A. 日焼けやシミ、皮膚がん、白内障などです
紫外線は肌に様々なダメージを与えます。紫外線による急性の症状としては、いわゆる日焼け(日光皮膚炎)があります。日焼けでは皮膚の細胞が傷つき、炎症を起こして赤くなったり、ひどくなると水ぶくれ(水疱)を起こしたりします。日光に過敏に反応して皮膚の炎症やかゆみなどが起こる光線過敏症も、多くは紫外線によるものです。また、紫外線によって皮膚の免疫力が低下し、口唇ヘルペスが再発するようなケースもあります。紫外線のダメージが皮膚の細胞に蓄積されると、シミやシワ、たるみの原因となります。こうした紫外線による肌老化を「光老化」と呼んでいます。また、長期的に紫外線を浴び続けることによるダメージとしては、皮膚がんに最も注意が必要です。紫外線が皮膚の細胞の遺伝子を傷つけることは、がん発症の原因となります。
さらに、紫外線は目の水晶体の組織に影響し、白内障の誘因にもなります。美容だけでなく、健康上のリスクも高いことを知っておきましょう。
紫外線によるダメージ
急性症状
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日焼け
(日光皮膚炎) -
光線過敏症
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口唇ヘルペスの再発
慢性症状
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シミ、シワ、たるみ
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皮膚がん
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白内障
シミの原因は紫外線だけじゃないの?
A. 様々ありますが、大半は紫外線が原因です
一般に肌の老化によるシミといった場合、そのほとんどは、紫外線による光老化が原因です。これを日光性色素斑(老人性色素斑)といいます。
紫外線を浴びると、皮膚の表皮にあるメラノサイト(色素細胞)が刺激され、メラニン色素が産生されます。メラニン色素は紫外線から肌を守る役割をもち、通常は肌のターンオーバーによってはがれ落ちます。しかし、メラニン色素が産生され続けて沈着してしまうと、シミとなって現れることになります。このように、メラニン色素の沈着がシミの原因ですが、シミには多くの種類があり、それぞれ原因が異なります(下表参照)。実際には、紫外線の他、加齢、ホルモンバランスの乱れ、食生活、ストレス、遺伝など、様々な要因が複雑に絡み合って発生すると考えられます。
なお、シミの中には悪性黒子といって、日光性色素斑と見分けがつきにくいものもあります。悪性黒子は皮膚がんの中でも最も悪性度の高い悪性黒色腫(メラノーマ)の一種です。気になるシミができた場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
主なシミの種類と特徴
日光性色素斑 | 老人性色素斑とも呼ばれ、紫外線が原因。頬やこめかみ辺りにできやすく、薄茶色。基本的に一度できてしまうと消えない。 |
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肝
斑
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30~50代くらいの女性にできる。頬を中心に左右対称に現れ、褐色。ホルモンバランスの乱れが原因と考えられ、紫外線で悪化する。自然に消えることがある。 |
炎症後 色素沈着 |
二キビ、けが、やけど、かぶれなどで皮膚のダメージ、を受けた所をこすったり、かきむしったりすることが原因。紫外線で悪化しやすい。 |
雀卵斑
、 ソバカス |
鼻を中心に頬全体に散らばる細かいシミで、休にもできる。遺伝的要因が大きく、若い頃から見られ、紫外線によって増えたり濃くなったりする。 |
シミの特定・鑑別には専門医の診察が必要です。
太陽光は浴びた方がよいと聞きましたが?
A. よい作用がありますが、浴び過ぎは悪影響です
太陽光には健康を維持する上で欠かせない多くの作用があります。ビタミンDはカルシウムの吸収・代謝を促進して、丈夫な骨をつくるために大切な栄養素で、その80~90%は日光浴によって体内で生成されます。生体リズムを調整する作用、殺菌作用などもあります。
これらは確かに太陽光のよい作用といえますが、その一方、Q1で述べたように、太陽光の紫外線は肌ダメージや皮膚がん、白内障などの原因となるため、過剰に浴びることは避けるべきです。
ただし、極端に紫外線を避ける生活を送っていると、骨粗しょう症のリスクが高まるなど健康上の問題があります。目安として、ビタミンDの生成には1日10~15分程度の日光浴で十分とされています。骨を丈夫にするには日光浴と併せて食事からのカルシウムとビタミンDの摂取や適度な運動習慣も大切です。
太陽光の役割
よい作用 |
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悪い作用 |
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「くる病」とはどのような病気?
A. ビタミンD不足による骨の発育不良です
くる病は、発育期にカルシウムが骨に沈着せず、手足の変形など骨の発育不良を起こす病気です。最近、子どものくる病の増加が話題になっています。主な原因としてビタミンDの不足が指摘されていますが、極端に紫外線を避ける習慣も関係しているのではないかと考えられています。紫外線の浴び過ぎはよくありませんが、乳幼児も1日10~15分程度の日光浴が大切です。