栄養補給で乗り切る 夏の疲れ

Q5

水分不足が疲れを招くって本当?

A. 血液がドロドロになり疲労の原因になることも

夏の疲れの原因の一つに、体内の水分不足があります。体に摂り入れた水分は胃や腸で吸収され、血液の一部となって全身を巡り、血管から各細胞へと移動していきます。血液中の水分が不足すると血液がドロドロになり、流れが悪くなることに。すると細胞への水分供給が不足し、細胞が脱水状態となって、うまく働けなくなります。

同様に、消化管への血流が低下すると消化がうまく行えなくなり、栄養が体に吸収されにくくなります。消化吸収をスムーズに行うためにも、適度な水分補給が必要となります。

脱水は熱中症の原因にもなりますので、上手に水分補給をしましょう。熱中症になると、めまいや立ちくらみといった症状が現れ、重度になると意識障害を起こして命にかかわることもあります。万が一、熱中症の症状が現れたら、涼しい場所に避難し、水分や塩分を摂りましょう。そして、首やわきの下、太もものつけ根など太い血管が通っている部位を冷やし、体温を下げます。水でぬらしたタオルなどを当てるとよいでしょう。

体内の水分の流れ

水分を摂る→腸で吸収→血液の一部になって全身を巡り各細胞に供給
Q6

疲れを防ぐための上手な水分の摂り方は?

A. のどが渇く前に、こまめに摂りましょう

脱水予防のための水分補給で一番大切なことは、のどが渇く前にこまめに摂ることです。夏は汗と共に体内の塩分が失われるため、いつもより塩気のある食事を摂ることも心がけましょう。大量に汗をかく場合は、塩分が含まれるスポーツ飲料などを摂ることも一案です。各シーン別の水分の摂り方の目安は次の通りです。

●空調が整った室内……半日でペットボトル1本分(500ミリリットル)をこまめに飲む。

●炎天下での活動時……塩分が含まれたスポーツ飲料などをこまめに飲む。

●運動前……運動により、失われると予想される水分量の半分程度を飲む。

また、人は寝ている間に500~600ミリリットルほどの水分が失われます。寝る前にこの量の水分を摂ることは難しいですが、少なくともコップ1杯(200ミリリットル)程度は摂りましょう。

特に夜アルコールを飲む人は、寝ている間にアルコールを代謝するため、さらに多くの水分が必要となります。就寝前だけでなく、夜中に起きた時にもコップ1杯程度の水分を摂るとよいでしょう。

水分の上手な摂り方

  • 空調が整った室内

  • 炎天下での活動時

  • 運動前

  • 就寝前

Q7

夏の疲れに有効に働く栄養素は?

A. 糖質、ビタミンB群、タウリン、クエン酸、カリウムです

疲れをとるためには、次のような栄養素を意識して摂るとよいでしょう。

●糖質(炭水化物)……疲労回復を早める作用がある。食事の摂取カロリーの50~65パーセントの割合で摂るとよい。代謝を促すビタミンB群と一緒に摂るようにする。

●ビタミンB群……糖質のエネルギー代謝を助ける。ビタミンB1、B2、B6などが助け合って脂質や糖質、タンパク質をエネルギーに変換する。

ビタミンB群は水溶性のため、余った分は数時間で体外に排泄されます。また加熱により破壊されるため、毎日、生または加熱調理時間が短い料理で摂り続けることが大切です。

これらに加えて、タウリンを意識して摂るとよいでしょう。タウリンは筋肉・脳・目などに多く含まれ、各機能を正常に保つ重要な働きがあります。タウリンは1日に500ミリグラム必要とされています。過剰に摂ってもビタミンB群と同様に体外に排泄されるため、不足しないように、毎日コツコツ摂り続けることをおすすめします。

また、疲労物質の乳酸をエネルギーに変える作用があるクエン酸も有効です。その他、汗と共に排出されてしまうカリウムなども意識して摂ることを心がけましょう。

夏に摂りたい食材

糖質
  • ごはん

  • パン

  • めん類

ビタミンB群
  • 豚肉

  • ラム肉

  • 牛肉

  • ウナギ

タウリン
  • カキ

  • イカ

  • タコ

  • アジ

  • アサリ

クエン酸
  • レモン

  • キウイ

  • パイナップル

  • グレープフルーツ

カリウム
  • バナナ

  • メロン

  • アボカド

  • トマト

1日に必要な栄養素の量(成人の男女)

推奨摂取量 食材の目安量
ビタミンB1 0.9~1.4mg 豚肉 約100~150g
ビタミンB2 1.1~1.6mg ウナギ 約150~230g
ビタミンB6 1.2~1.4mg 牛肉 約200~300g
タウリン 500mg イカ・タコ 約180g
クエン酸 2~5g レモン 約1/2~1個強
カリウム 2600mg以上 バナナ中 約5本

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)より

Q8

なぜ疲労回復にタウリンがよいの?

A. 細胞を正常に保つ働きがあるからです

タウリンはアミノ酸の一種で、私たちの体の各組織、特に筋肉に多く含まれています。細胞を正常に保つ働きがあり、足りていれば筋肉がスムーズに動くため、疲れにくくなるなど、疲労回復にも有効です。タウリンは食品に含まれている他、医薬品、医薬部外品などに配合されています。継続的に摂るために、ドリンク剤を活用することも有効です。

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