自分で健康を守る よくわかるコレステロール対策
「脂質異常症を放置すると、命に関わる疾患を誘発する場合もあります」
そんなに怖い病気ですか?
「60代の4人に1人は脂質異常症が疑われます」
脂質異常症は、生活習慣病の一つですが、糖尿病や高血圧に比べると認知度が低く、その怖さはあまり知られていません。しかし、潜在患者を含めると現在2200万人もいるといわれます。男性は30代から、女性は50代から増え始め、60代では男女ともに4人に1人が脂質異常症の疑いがあるにも関わらず、ほとんど症状が現われないため、自覚している人が少ないのが現状です。


血液や血管の病気?
「血管が狭くなり動脈硬化を引き起こします」
コレステロール値が高いと、血管の内壁にコレステロールを取り込んだ「泡沫細胞」が集まり、おかゆのようなドロドロとした塊ができます。その塊により血管の内壁が次第に盛り上がり、ときにカルシウムが沈着して石灰化し、血管はかたくもろくなります。血管の内壁はさらに盛り上がって血液の流れる道を狭めるとともに、弾力性がなくなった血管はちょっとした刺激でも破れやすくなります。
高血圧や喫煙などは血管の内壁を傷つける要因になり、粥状動脈硬化を起こしやすくします。また、糖尿病や肥満、ストレスも原因となるので注意してください。

もしも病状が進んだら?
「深刻な病気を招きかねません」

自分では気づかないまま症状が進んでしまうのが脂質異常症の怖いところ。軽視して放っておくと、深刻な病気を引き起こしてしまいます。たとえば動脈硬化は高血圧や腎臓病の要因となり、さらに進むと狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を発症する要因となります。深刻化して初めて脂質異常症を認識するケースが多いことから、高血圧や糖尿病と同じく“サイレントキラー”とも呼ばれます。
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動脈硬化
血管の壁にLDLコレステロールがたまり、動脈の内側が狭くなったり、柔軟性を失ったりして、血液の円滑な流れを阻害します。また、血栓と呼ばれる塊ができ、血管を詰まらせることも。
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脳卒中
脳卒中の危険因子の一つが、脂質異常症です。脂質異常症が誘発する動脈硬化により、脳の血管が詰まる脳梗塞や、脳の血管が破れる脳出血を引き起こす危険性があります。
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心筋梗塞
動脈硬化が進行するなどの要因で、心臓に血液を供給する冠動脈に血栓ができると、冠動脈が詰まり、心筋に血液が行き届かなくなるのが、心筋梗塞の状態。心臓が動かなくなり、命の危険もあります。