「先手必勝」で快適な春に 攻めの花粉症対策

今や国民病とも呼べるほど患者が多い「花粉症」。
眠気などの副作用が出にくい市販薬が登場するなど、花粉症治療は進化しています。
近年の治療事情を押さえながら計画的なセルフケアを実践し、快適な春を迎えましょう。

日本医科大学大学院医学研究科 教授

大久保 公裕 先生

おおくぼ・きみひろ 1984年日本医科大学卒業。同大学院修了後、アメリカ国立衛生研究所(NIH) に留学。日本医科大学耳鼻咽喉科准教授を経て、2010年より現職。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定指導医、日本アレルギー学会常務理事など。医学博士。花粉症治療の第一人者として知られ、『ササッとわかる最新「花粉症」治療法』(講談社)、『花粉症は治せる! 舌下免疫療法がわかる本』(日本経済新聞出版社)など著書多数。

Q11月だけど鼻がムズムズ。もしかして花粉症?

A. 人によっては1月から症状が現れることがあります。

スギ花粉の季節といえば2〜4月ですが、1月にはわずかな量の花粉が飛び始めています。そのため、この段階で鼻がムズムズしたり、鼻みずやくしゃみが出たりする人もいます。花粉症はシーズン当初からひどい症状が出るわけではありません。花粉を浴び続けてアレルギー反応を繰り返すうちに、鼻の粘膜の炎症が激しくなって症状が悪化していきます。花粉症対策は「先手必勝」がカギ。花粉を感じたらすぐに薬を服用し、重症化を防ぐことが大切です(Q2参照)。

また、正しい対策をするには、自分が何のアレルギーか把握しておくことも重要です。花粉症とひと口に言ってもスギ花粉だけのアレルギーの人は少なく、ヒノキやブタクサなど他の植物の花粉やハウスダストなどに反応しているケースが珍しくありません。他にも鼻の粘膜が過敏になる「鼻過敏はなかびん症」や鼻の中にうみがたまる「副鼻腔ふくびくう炎(蓄膿ちくのう症)」、さらにはかぜの可能性もあります。こうしたことからも、花粉症と思っているけれど、実際に診断を受けたことがない人や、今シーズン初めて発症したと思われる人は、一度、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を特定する検査を受けることをおすすめします。

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