脂質コントロールで血管のエイジングを防ぐ

Screening更年期を迎えたら……
全身をくまなく検査しておきたい

エストロゲン減少の影響はあらゆるところに現れます。閉経あるいは50歳という節目に個別検診などで全身を検査して、今のカラダの状態を把握しておくとよいでしょう。 

全身を巡る血流をチェック

エストロゲンの分泌が減少すると循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整している自律神経も乱れやすくなり、体のあちこちにトラブルが起こるようになります。よくないのは、不調があっても、「更年期だから仕方ない」と放っておいてしまうこと。実は脳血管障害の症状だったケースもあるそうです。そこで先生は、「女性の体がダイナミックに変わる節目の50歳あるいは閉経を機に、頭から足の先まで自分の体の状態をきちんと検査することが大事」と提案します。

栄養素や酸素を行き渡らせる血液の流れが滞ると、体のどこかに支障を来します。全身を検査することは、全身の血管に詰まりがないか、動脈硬化がないかの確認でもあるのです。健康診断だけでは十分とはいえないため、自費にはなりますが病院やクリニックで行っている個別検診で、詳細に調べることをおすすめします。

Q更年期の悩みはどこで相談できる?

A 更年期に起こる心身の不調は、診療科を特定できないことが多いもの。そんな時は女性の全身症状をトータルで診察してくれる「女性外来」への受診をおすすめします。女性外来の先生は呼吸器、内分泌、循環器などと専門分野は違いますが、性差医療について勉強しているため、メンタル面も含めいろいろと相談にのってくれるはずです。女性外来の受診をきっかけに、かかりつけ医をもつとよいでしょう。

Q全身を検査する費用はどのくらい?

A 健康診断や特定健診の費用は無料か、有料でも低額です。全身を診る個別検診の場合、基礎検査を中心とした日帰りの費用は平均3~8万円くらい、泊りがけでMRIやMRA、PET-CT※、エコー検査を行って、より詳しく検査する場合は10万円以上かかることも。個別検診は健康保険の適用外なので、費用は全額自己負担。ただし居住地の市町村や所属している健康保険協会、健康保険組合、あるいは契約している保険会社によっては、補助金や助成金、割引サービスが受けられる場合があるので、問い合わせてみましょう。

※PET(陽電子放出断層撮影)検査とCT(コンピュータ断層撮影)検査を融合させた検査。がんの発見に役立つ。

こんな検査を受けておこう!

健康診断や特定健診で行う身体測定(身長・体重・BMI・腹囲を測る)や血液検査、血圧測定(血圧脈波検査)に加えて、より精密な検査が行える個別検診。それによって、健康診断では見落とされた疾患や異常が見つかることも。女性特有の病気を網羅した検診メニューを用意しているクリニックもあります。

更年期に胸の痛みが生じたら……

更年期の女性が、運動時に限らず安静時や就寝時に胸が痛むようなら「微小血管狭心症」が疑われます。エストロゲンの減少や心身のストレスが主な原因で起こり、痛みは、数分でなくなる場合もあれば、1日続くケースも。命にかかわる病気ではなく、高血圧や狭心症の薬によって症状はほぼ改善します。疑われる場合は医師に相談するとよいでしょう。

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