定期検査で早期発見 糖尿病の合併症
Q6糖尿病の人がかかりやすい他の病気は?
A. 認知症、がん、骨粗鬆症、歯周病、うつ病です
糖尿病になると、血管障害以外にも、認知症やがん、骨折、歯周病、うつ病にかかりやすいことが分かっています。AGEが深く関与し、現在その治療法の究明が進められています。
- ●認知症
- 糖尿病になると発症リスクが高まる。「脳の糖尿病」ともいわれる。
- ●がん
- 糖尿病患者の死因第1位。特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが高まる。
- ●骨粗鬆症
- 骨のタンパク質が変質してもろくなり、骨折しやすくなる。
- ●歯周病
- 糖尿病の人は、高血糖により免疫力が低下するため歯周病菌に感染しやすく、重症化しやすい。最近では、歯周病になると糖尿病が悪化する、という報告もある。
また糖尿病患者の約11パーセントがうつ病を併発しており、約31パーセントに併発の疑いがあるとされます。うつ病の併発により、他の合併症が悪化する可能性も指摘されています。
糖尿病の人がかかりやすい病気

Q7検査を受ける頻度は?
A. 半年から1年に1度など合併症により異なります
糖尿病の合併症は、早期に発見できれば、適切な治療により回復する可能性が高くなります。特に直接命にかかわる心筋梗塞も、早期に発見さえできれば、今では安全に内科的に予防する技術も進んでいます。
合併症のほとんどが初期には自覚症状が現れないということを認識し、各疾患によって、半年から1、2年に1度の頻度で検査を受けましょう。
糖尿病の人は、検査にも保険が適用されます。定期検査を行っていなければ、かかりつけ医に相談しましょう。
合併症を早期発見するための検査

Q8合併症を予防するセルフケアは?
A. 運動や歯周病の治療、禁煙などです
合併症を予防するためには、日常的な血糖コントロールが必要です。治療の基本となる食事療法と併せて、次のセルフケアを行いましょう。
- ●運動
- 食後に運動をすると、血液中のブドウ糖がエネルギーとして使われ、血糖値が下がる。運動を継続すると、ブドウ糖を体内に取り込むインスリンの働きがよくなり血糖コントロールが改善される。また、筋肉トレーニングで筋力をつけると、同じ食事内容でも血糖値が上がりにくくなる。
- ●歯周病の治療
- 糖尿病の人は歯周病にかかりやすい。また歯周病菌が血管内に入り込むと、インスリンの分泌を抑える物質がつくり出されて血糖値が上がる。歯周病を治療することで、高血糖も改善されることも。
- ●禁煙
- 喫煙は、血管を収縮させて血液の流れを悪くする。糖尿病の人が喫煙すると合併症を進行させるため、禁煙補助薬を使うなどして禁煙することが大切(禁煙外来で処方される他、市販薬もある)。
- ●入浴
- 入浴で温まり深部体温が上がると、血糖値をコントロールするインスリンの働きがよくなる。入浴で心身がリラックスすると、副交感神経が優位になり血糖値が下がる。ただし40度以上では交感神経が刺激されて血糖値と血圧が上昇し、42度以上では血栓ができやすくなるため注意(入浴のポイント参照)。
また、最も早い段階で現れる合併症が、糖尿病神経障害です。進行による潰瘍や壊疽を防ぐためにも毎日足を観察して、異変に気づいたら自己流の処置をせず、かかりつけ医に相談しましょう(足のチェックポイント参照)。
合併症予防のセルフケア

