血圧コントロールで血管力を高める!

Q4高血圧と診断されたら、一生薬をのみ続けないといけないの?

A. 生活習慣の改善で、服薬をやめることもできます。

早い段階で血圧の異常に気づき、生活習慣を見直せば血圧の改善が期待できます。薬物療法が必要と診断された場合は、まず薬で正常な血圧の状態を取り戻し、血管への負担を軽減します。そして、治療しながら生活習慣の改善に取り組めば、服薬量の軽減や休薬もできます。

生活習慣の改善において二大柱となるのが、食事と運動(Q5・Q6参照)です。その他、禁煙はもちろんストレスをためないこと、十分な睡眠をとることも心がけましょう。

高血圧予防の心得“ははは”の生活術!

「腹 (はら)八分目(はちぶんめ)で早歩き(はやあるき)、ハハハと笑い、早寝早起き(はやねはやおき)、早めに(はやめに)タバコもやめましょう」

Q5家族もいるし、減塩料理を続ける自信がありません……。

A. 味付けを工夫し、大豆ファーストを実践するのも1つです。

味付けには、酢やスパイスなどで酸味や辛みをプラスするとよいでしょう。特におすすめしたいのが、レモンです。レモン果汁を加えると塩味を感じやすくなるため、減塩料理の味の薄さを補ってくれる他、レモンに含まれるポリフェノールによって血圧を下げる効果も期待できます。

減塩に加え、食事の最初に大豆を食べる“大豆ファースト”も高血圧の予防に効果的です。大豆は良質なタンパク質であり、食物繊維も豊富。タンパク質は丈夫な血管をつくる基になる大事な栄養素の1つであり、食物繊維は塩分を絡め取って体外に排泄する働きがあります。さらに、血管をしなやかにし、高血圧の予防に有効とされるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも多いのです。

また、野菜を先に食べるベジタブルファーストよりも、タンパク質を先に摂る大豆ファーストのほうが、満腹感を得られやすく、腹持ちがよいことも実験で分かりました(グラフ参照)。そのため、食べ過ぎを防ぎ、高血圧の原因となる肥満の予防にもなります。

アメリカで高血圧予防食として注目されている「DASHダッシュ食」という食事があります。この食事の基本は、動物性脂肪を減らし、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維をしっかり摂ること。大豆ファーストを心がければ、このダッシュ食の基本を押さえることができるのです。

血管力を高める効果あり!? 注目のスパイス「ヒハツ」

ヒハツは「ロングペッパー」とも呼ばれる香辛料。実の部分を乾燥させた物で、辛みと甘い香りがあります。ヒハツには“ピペリン”という成分が豊富に含まれており、継続的に摂ることで血管を丈夫にする作用があります。薄味をカバーするスパイスの1つとして活用するとよいでしょう。

蒸し大豆で手軽に!大豆ファースト

豆腐や納豆、豆乳など、大豆製品は様々ですが、中でもおすすめは蒸し大豆です。蒸し大豆の優れた点は、納豆のように味や匂いが強くないため、様々な料理にアレンジしやすく、調理をしなくても手軽に取り入れることができます。また、蒸しているため、栄養素の流出がほとんどありません。

食事の違いによる「満腹感」の推移

Q6高血圧を予防するにはどんな運動をすればいいの?

A. 誰でもできる“ゾンビ体操”がおすすめです。

ゾンビ体操とは小刻みに足踏みをしながら、肩の力を抜いて腕をブラブラさせるだけのシンプルな体操です。いつでも、どこでも、そして誰でも楽しくできるため、「運動しなければ」と気負う必要もありません。忙しい人や運動が苦手な人でも気軽に日常生活に取り入れることができます(下記参照)。

また、ゾンビ体操は、上半身と下半身を別々に行っても効果があります。例えば、座った状態で腕をブラブラさせたり、かかとの上げ下げをしたりするだけでも十分。肩こりの予防や下肢静脈瘤(Q3コラム参照)の改善・予防が期待できます。

ゾンビ体操のよいところは、それだけではありません。上半身と下半身を動かすことで全身の血流がよくなり、血管の表面を守る血管内皮細胞からはNO(一酸化窒素)と呼ばれる物質の分泌が増えます。NOは血管を拡張して血流をよくする、血管をしなやかにするなどの働きがあるため、NO量が増えると血圧は下がりやすく、血管力も高まるのです。

ゾンビ体操 基本の動き

ゾンビ体操は、速めの足踏みで1分間行った後、30秒ほどゆっくりと足踏みをします。これを3セット繰り返すと、約10分歩いたのとほぼ同じ運動量に。

日常生活に取り入れるコツ

「脱ET体操」で首周りの血流を改善!

近年、首や肩のこりに悩む人が非常に多く、その原因の1つになっているのがスマートフォンです。首を前方に突き出し、傾いた姿がETにそっくり。この状態を続けていると首や肩の筋肉が緊張し血流が悪くなります。そこで、首周りのこりをほぐし、血流をよくする運動として「脱ET体操」がおすすめです。ビルの5階くらいの高さを眺めるように首を上向きにし、ボートを漕ぐように腕を引いて肩甲骨を寄せ、胸を開きます。これを10回、ゆっくり繰り返しましょう。首周りの血流がよくなると全身の血液循環もスムーズになり、血圧を下げることにもつながります。

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