食生活を見直す 中性脂肪・体脂肪対策
脂肪を増やさないためにはどうしたらよいの?
A. 食事の摂り方の工夫が必要です
内臓脂肪が多く、中性脂肪値が高い人は、現在の体重の5パーセントを、3~6カ月かけて落とすことを目標にしましょう。減量を始めた直後は、皮下脂肪1に対して、内臓脂肪2の割合で燃焼します。1キロの減量であってもウエスト周囲径は1センチ短縮、内臓脂肪面積は7・5平方センチメートルの減少に相当します。
また、脂肪をためやすくする要因は、脂質と糖質の過剰摂取です。特に次の5つの食品の摂り過ぎに注意しましょう。
●お酒……中性脂肪を分解するリポタンパクリパーゼの働きを阻害する。
●ご飯……中性脂肪に合成されるブドウ糖に分解される。
●油脂……食品に含まれる油脂はそのまま中性脂肪になる。
●果物……中性脂肪に合成されやすい果糖を多く含む。
●砂糖……中性脂肪に合成されるブドウ糖、果糖になる。
体が食べ物をエネルギー源として吸収する速さは、糖質のブドウ糖への分解と吸収が大きくかかわっています。ブドウ糖への分解・吸収が速いと、血液中にブドウ糖が急激に流れ込むため、消費しきれずに余ったブドウ糖から合成される中性脂肪も多くなります。糖質の多い食品を摂る際は、分解・吸収の遅い食品、GI値(グリセミック・インデックス)が低い食品を摂ることを心がけましょう。一般に精製度の高い物ほどGI値が高く、低い物ほどGI値が低いとされています。
●高GI食品……白米、食パン、うどんなど。
●低GI食品……玄米、ライ麦パン、そばなど。
減量の目安と期間

脂肪をためやすくする食品
-
お酒
-
ご飯
-
油脂
-
果物
-
砂糖
これら5つの食品の摂り過ぎは、中性脂肪を増やす原因になる。
GI値の低い食品・高い食品(糖質)

過剰な飲酒は脂肪肝に
-
アルコールは、肝臓で中性脂肪の合成を促すと共に、合成された中性脂肪が血液中に出ていくことを阻害します。そのため、過剰な飲酒は肝臓に中性脂肪がたまる原因となり、アルコール性脂肪肝を引き起こします。お酒を楽しむ場合は、適量を守りましょう。ビールなら中瓶1本、清酒なら1合が1日の目安です。
食生活の改善がなかなかうまくいかない場合は?
A.トクホを取り入れることも1つの手段
中性脂肪・体脂肪を減らすためには、規則正しい食生活が基本です。しかし、様々な要因で食生活の改善がうまくいかない場合は、トクホ(特定保健用食品)を上手に取り入れることも1つの手段です。
トクホは、健康に役立つ成分が含まれた食品です。食生活の改善をしながら上手に利用すれば、中性脂肪・体脂肪を減らす効果も高まります。
トクホとは?
-
体の調子を整える働きのある「関与成分」を含んだ食品です。その食品が持つ有効性、安全性、品質などの安定性が厳正に審査され、「消費者庁」より健康に対する機能表示を許されています。
トクホの上手な取り入れ方は?
A. 目的に合った物を継続して摂りましょう
トクホを取り入れる場合は、目的に合ったものを選びましょう。最近では、中性脂肪が高めの人や体脂肪が気になる人の食生活をサポートする、次のような成分を含むトクホも市販されています。
●モノグルコシルヘスペリジン……柑橘(かんきつ)類由来のポリフェノールの一種。肝臓での中性脂肪の合成を抑え、中性脂肪になる前の脂肪酸の分解を促す働きがある。そのため血液中に流れるVLDLが減少し、中性脂肪が低下する。
●コーヒー豆マンノオリゴ糖……コーヒー豆に含まれる成分。小腸での脂肪の吸収を物理的に阻害し、脂肪の排泄(はいせつ)を促すため、蓄積された体脂肪を減らす働きがある。
トクホを使用する際は、ラベルやパッケージに記された摂取量の目安や摂取方法、注意事項をよく読むことも大切です。バランスのよい食事と一緒に、継続して摂れば、効果が期待できます。また、トクホは食品ですが、日頃から薬をのんでいる人、治療中の人は、医師に相談してから摂りましょう。
「モノグルコシルヘスペリジン」の作用

肝臓での中性脂肪の合成を抑え、脂肪酸の分解を促す。
「コーヒー豆マンノオリゴ糖」の作用

小腸での脂肪の吸収を阻害し、排泄を促す。
トクホの上手な活用法
-
継続して摂る
-
注意事項をよく読む
-
バランスのよい食事と一緒に