おすすめの栄養素で年代別のお悩みを解消

なんとなく⾝体の調⼦が悪かったり、元気が出なかったりすることが悩みという⼈は多いでしょう。そのような場合、⾝体に必要な栄養素が不⾜していることが原因と考えられます。健やかな⾝体を維持するためには、⼗分な栄養素を摂取することがとても⼤切なのです。栄養摂取におすすめな食べ物や、代表的な栄養素について詳しく知ることで、年代別に起こりえる体調の悩みも解消することができます。健康的な毎⽇を過ごせるようになりましょう。

管理栄養士・薬膳コーディネーター

宮﨑 奈津季 先生

みやざき・なつき 女子栄養大学実践栄養学科卒業。介護食品メーカーで営業を2年経験後、独立。
料理研究家ユニット「ちゃあみー」として活動。2019年1月に合同会社HITOOMOIを設立、取締役。
菓子メーカーの営業代行・商品開発や、レシピ開発、料理動画撮影、記事・コラム執筆、監修などを行う。誰かのための料理、労わる料理、作り手も気負わない料理を大切にしている。

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⼤切な五⼤栄養素とその必要量は?

⼈間の⾝体はさまざまな栄養素で作られています。そのため、健康を維持するためには⾷品から摂取できる栄養素はできるだけ意識する必要があると⾔えるでしょう。

五大栄養素とは、さまざまな栄養素がある中でも⼈の⾝体にとって必要不可⽋なものです。それぞれにどのような役目があるのかを紹介していきます。

糖質糖質は即効性のあるエネルギー源

糖質は、炭水化物から食物繊維を差し引いたもので私たちにとって主要なエネルギー源となっています。どのくらいエネルギーになるかというと、1gあたり4kcalです。タンパク質や脂質もエネルギー源になりますが、素早くエネルギーになるというのが糖質の特長です。

糖質が不足すると、集中力が落ちたり疲れやすくなったりします。一方で、過剰に摂取した場合は、脂肪に形を変え、身体に蓄積されていきます。主に、ごはんやパン、麺類、果物などに多く含まれています。

タンパク質タンパク質は筋肉や内臓など
さまざまなものを構成
しています

タンパク質は、身体を作る重要な栄養素です。爪や髪、筋肉、臓器の構成成分であり、さらにホルモンや酵素の成分としても存在しています。エネルギー源として使われることもあります。

タンパク質は、アミノ酸と呼ばれるものがくっついた状態のものを指しており、私たちの身体にあるタンパク質は常に分解され、摂取したタンパク質と合わせて作り直されています。その中でも、体内で作ることが出来ない「必須アミノ酸」があり、これを意識して摂取することが大切です。肉や魚、卵、乳・乳製品、大豆などに多く含まれています。

脂質脂質は最も高いエネルギー源

脂質は、1gあたり9kcalになるエネルギー源の一つです。その中でも体内で作ることが出来ない「必須脂肪酸」と呼ばれるものがあります。これらは私たちの体中で細胞の成分や、ホルモンを作る材料としても働いています。

脂質を取りすぎるとエネルギーの過剰摂取につながり、肥満などの生活習慣病のリスクとなります。また、脂質にはいくつか種類があり、それらのバランスを保って摂取するのが良いと言われています。現代人は脂質の過剰摂取が指摘されているので、取りすぎに注意しましょう。調理中に使う油を控えめにしたり、肉であれば脂身の少ない赤身の肉、鶏肉の皮を除くなど食材に含まれる脂肪を避けるようにすると、自然と脂質の摂取量を抑えることが出来ます。

ビタミンビタミンは身体の潤滑油

ビタミンは、体内で作ることができませんが、私たちの身体の機能を正常に保つ働きのある栄養素です。

ビタミンには、大きく分けて2種類あります。

脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)は、水に溶けない性質があります。そのため、身体に蓄積されやすいので過剰症を引き起こすことがあります。ビタミンAは皮膚や粘膜の保護に働きかけてくれたり、ビタミンEは体内の酸化を防いでくれる働きがあります。

水溶性ビタミンは、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCの総称です。名前のとおり水に溶けやすいため、体外へ流出しやすく不足しやすいのが特徴です。ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝に関与しており、ビタミンCは、コラーゲンを作るのに必要な栄養素です。このように体内の酵素代謝に関与しているのも特徴の一つです。

ミネラルミネラルは身体の機能維持
に欠かせない成分

ミネラルは、ビタミンと同じく身体の機能を調整してくれる栄養素で、身体の構成成分にもなっています。

ミネラルは大きく分けて2種類あり、主要ミネラル(カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウム)と、微量ミネラル(鉄・亜鉛・銅・マンガン・クロム・ヨウ素・セレン・モリブデン・コバルト)となっています。

不足した場合は、さまざまな症状があらわれます。例えば、鉄が不足すると貧血となり、めまいや息切れのような症状があらわれます。ミネラルは互いに吸収や働きを妨げることもあるので、バランスよく摂取することが大切です。

どんな⾷べものにどの栄養が多いの?

健康を維持し、身体の調⼦を元気に保つためには普段の⾷事から意識して栄養素を摂取することが⼤切です。

五大栄養素を効果的に摂れる食事の方法を身に付け、バランスの良い⾷事を取りましょう。

必要な栄養素を年代別に紹介!

栄養素は年代別に不⾜しやすいものがあるので、栄養不⾜によって起きる悩みも年代によってさまざまです。

不⾜しがちな栄養素を知り、年齢に合わせて効果的に摂取しましょう。

10代10代で不⾜しがちなビタミン

10代は、成長期でもあり、エネルギーや栄養素の必要量が多い時期でもあります。成長を促すためにも、しっかりと食事から栄養を摂取しておくことが大切です。エネルギーやタンパク質をしっかり摂取しておくことはもちろんですが、成長に必要なビタミンAやビタミンB群をしっかり取りましょう。ビタミンAには身体の成長を促進させるだけではなく、視覚を調整したり、皮膚や粘膜の保護に働きかけて免疫力を高めてくれます。ビタミンB群は、脳の働きや代謝に必要な栄養素なので、積極的な摂取を心がけましょう。

20代20代では鉄分の摂取も重要になる

20代になると、10代に必要だった栄養素に加えて鉄分や食物繊維などの摂取が重要になってきます。また、男性と比べて女性は貧血になっている方が多くいます。女性は月経による血液損失があることに加えて、ダイエットや朝食の欠食により鉄分が不足していることが考えられます。ほかにも、女性は妊娠により血液量が増加することにより血液が必要になるため、しっかりと鉄を貯蔵しておかなければなりません。日頃から鉄分をさまざまな食材から摂取することがとても大切なのです。

30代30代は食が細くなります

30代になると、身体はほとんど出来上がっている状態になり維持する段階となります。加えて、仕事中心の生活から接待やストレスなどの影響から食事は不規則になりがちです。代謝も低下し始めるため、太りやすくなります。そのため、30代の方は食事量を抑えてしまう傾向があります。近年では、脂質の摂取が増加し、炭水化物の摂取が低下しています。炭水化物からしっかりエネルギーを摂取するようにしましょう。ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質は、ストレスや体内の老化予防に期待ができます。緑黄色野菜や果物、ナッツ類に多く含まれているので、意識すると良いでしょう。

40代40代は新型栄養失調に注意

40代になると、食事を単品で済ませ、野菜不足になることからカロリーは摂取できている、むしろ多くなりがちにもかかわらず、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足してしまっている状態が多くみられます。これを新型栄養失調と呼んでおり、40代以上の日本人に多いと言われています。風邪を引きやすくなったり、疲れが取れにくかったりすることも。定食スタイルの食事に見直してみることをおすすめします。

50代50代からは⽼化現象
軽減しましょう

50代に入ると、気になるのは「老化」ではないでしょうか。また、肥満は老化の速度を速めてしまうので、予防しておきたいですよね。活動量も落ち、さらに代謝も落ちてくるため、太りやすい傾向にあります。腹八分目に食事を抑えることがとても大切です。また、食事は偏りなくいろんな食材を食べて栄養素を摂取するようにしましょう。さらに、抗酸化作用のあるビタミンA・C・Eやポリフェノールを意識することでより効果的に老化を予防することができます。タンパク質にプラスしてこれらの栄養素を組み合わせることがおすすめです。

60代60代は栄養不⾜により注意が必要

60代に入ると、筋肉量が落ちて代謝も低下します。さらに食欲が落ちて低栄養のリスクにつながります。体重を落とすのではなく、むしろ少し太めを目指して栄養素を摂取すると良いでしょう。年齢を重ねるにつれてタンパク質の合成は難しくなるので、肉などからしっかりとタンパク質を取ることが大切です。胃の働きも低下しているので、消化の良い食事を心がけましょう。

栄養素は、それぞれにきちんとした働きがあります。そのためどれか一つのみを摂取するのではなく、さまざまな栄養素をまんべんなく摂取することにより、それぞれの栄養素をしっかりと働かせることが出来るのです。ライフステージによって特に必要な栄養素が変化するので、気を付けるようにすると良いですね。基本的には1日3食、バランスよく食べることが大切です。日々、食事を楽しむための参考になっていただけたら嬉しいです。

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