ゆをみ Vol.76

特集

陽性食品で冷えない体に

普段よく食べている物が、 実は体を冷やす原因になっているかもしれません。
そこで今回、漢方医学に基づいた冷えの治療を行っている
石原新菜先生に 体を冷やさない食事についてうかがいました。

石原新菜先生 イシハラクリニック副院長 いしはら・にいな 内科医。 2006年帝京大学医学部を卒業。研修医を経て、クリニックでは漢方薬処方中心の診療を行う。2児の母。クリニックでの診療の他、テレビやラジオ、講演、執筆活動と幅広く活躍中。『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所) など著書多数。

食べ物の“陰陽”を知り少しずつ食事をチェンジ

立った姿勢で腹式呼吸をするのは難易度が高め。まずは初心者でも行えるよう、座った状態で呼吸がしやすい姿勢をつくりましょう。

漢方には"陰陽論"という考え方があります。全ての物は陰陽に分けることができ、バランスをとりながら存在していると考えられてきました。体質が陰陽に分けられるのと同様に、食材も体を冷やす「陰性食品」と体を温める「陽性食品」に区分できます。

食べ物の陰陽は産地などで見分けることもできます。バナナなど、南方産の物は体を冷やす陰性食品ですが、りんがなど、北方産の物は陽性食品となります。その他、野菜ではレタスや白菜などの葉野菜は陰性食品、ごぼうやにんじんなどの根菜類は陽性食品です。また、精製されている白っぽい物は陰性食品 が多く、精製されていない黒っぽい物は陽性食品が多いのもポイントです。

体が冷えやすい体質の人は、 陰性食品を控え、陽性食品を積極的に摂るようにしましょう。 例えば、普段食べている白米を玄米に、料理に使っている白砂 糖を黒砂糖に、ごはんと一緒に 飲んでいる麦茶をほうじ茶に換 えるなど、毎日取り入れる物を少しずつ陽性食品に置き換える とよいですね。また、陰性食品 を摂る時は温めたり、陽性食品 と組み合わせたりして食べるの が体を冷やさないコツです。

「ザ・和食」が一番!

陽性食品を多く摂るには、玄米、みそ汁、納豆、焼き魚、野菜の煮物などの"和食"がおすすめ。中でもみそ汁は、温め効果が抜群のため、毎日の食事に取り入れてほしい一品です。みそは、大豆に塩、麹菌を加えて熟成・発酵させた陽性食品で、適度な塩分を補うこともできます。よく塩分の摂り過ぎを心配する声を聞くのですが、体が冷えている人は、適度な塩分を摂ったほうがよいと考えます。塩はみそと同様、体を温めてくれる陽性食品で、新陳代謝を上げる作用があります。また、筋肉の収縮や骨の形成、血液や涙、汗などの体液をつくる上でも欠かせないものです。塩を選ぶ時は精製されている物ではなく、ミネラルが豊富な自然塩を選ぶのもポイントです。

Dr. 新菜のおすすめレシピ 体の芯から温まる「しょうが紅茶」 陽性食品である紅茶にすりおろしたしょうがをスプーン1杯程度加えればでき上がり。忙しい時はチューブタイプのしょうが でもOK。しょうがは熱を加えると温め効果がさらにアップします。甘くしたい時は、陽性食品である黒砂糖をプラスしましょう。

陽性食品を体にチャージ 1杯のみそ汁から1日を始めよう!

寒い朝は、体を温めてくれる陽性食品を加えたみそ汁で、 冷えた体を温めましょう。
忙しい朝でも手軽にみそ汁を作るコツも管理栄養士の圓尾和紀先生に教わりました。

圓尾和紀先生 まるお・かずき 管理栄養士。分子整合医学美容 食育協会プロフェッショナル・ファスティングマイスター、同麻布支部支部長。 日常を和服で過ごし、日本食を推奨する。SNSやブログを通して、食に関する情報を発信している。著書である『一日の終わりに地味だけど「ほっとする」食べ方』(ワニブックス)では、みそ汁レシピを多数掲載。

陽性食品のみそを一番手軽に摂れるのがみそ汁です。具材には、かぼちゃ、ごぼうやれんこんといった根菜類などの陽性食品を加えれば、温め効果もアップ。「みそ汁は、具材を換えれば、アレンジの幅が広く、毎日食べていても飽きることがありません。野菜や海藻などの他、豆腐や卵、厚揚げなどを加えれば、タンパク質も補うことができます」と圓尾先生。体が温まり、1杯でもしっかり栄養が摂れるみそ汁は、忙しい朝にぴったりです。

 手間いらず! おいしいだしの取り方 火にかけなくても、水に一晩浸けておくだけで簡単にだしを取ることができます。うまみ成分のグルタミン酸が豊富な昆布とイノシン酸が豊富ないりこを合わせると、よりうまみがアップ。 (1)いりこの内臓部分(図参照)を取り除き、半分に割く。頭もだしに使う。 (2)容器に水1lと昆布(1枚)、いりこ(10〜15尾)を入れて冷蔵庫で一晩おく。 ※だしはいりこと昆布を取り出し、冷蔵庫で2日間、冷凍庫で1週間が保存の目安。
具だくさん!まろやか豆乳ごまみそ汁 2種類のみそをブレンドし、豆乳を加えたまろやか仕立てのみそ汁です。具材には陽性食品のかぼちゃとごぼうをプラス。

なるほど!免疫講座

皆さまからのご要望にお応えしてスタートした免疫についての連載企画。前号では、ストレスコントロールについてご紹介しました。今号では免疫にうれしい作用をもたらす入浴のコツをお伝えします。

おくむらこう先生 順天堂大学医学部名誉教授

第5回 この冬は免疫力を下げない!賢い入 浴のコツ

奥村先生がすすめる 入浴のコツ 40度のお湯で20分間の半身浴 石鹸やシャンプーは控えめに 手浴・足浴も上手に活用する
体温は36.5度をキープ
免疫力をベストな状態で働かせるには、体の中心部の温度 (体内温度)が37度であることが理想です。それには皮膚体温が36.5度以上あることが必要。これより低いと、免疫力が低下しているということになります。
毎日湯船に浸かる習慣を
体温が下がる原因としては、運動不足や肌を露出する服装、冷たい物の食べ過ぎなどが挙げられます。併せて注意したいのが、時間がないからと、湯船に 浸からずにシャワーだけで済ませること。冬の寒さから身を守るためにも、湯船に浸かる習慣をつけましょう。
免疫の要となるNK(ナチュラルキラー)細胞は、体を温めることで活性化することが分かっています。また、入浴にはリラックス作用があることからも、免疫にとってダブルでうれしい作 用があるのです。
40度のお湯に20分
効果的な入浴方法は、度のお湯にみぞおちくらいまで浸かる半身浴。20分くらい浸かりましょう。上半身が冷えてしまわないように、あらかじめ浴室全体を温めておき、肩に乾いたタオルをかけて入浴することをおすすめします。
洗い過ぎは免疫力ダウン
体を洗う時に注意したいのが 洗い過ぎです。石鹸やシャンプーをたっぷりつけてゴシゴシ洗ってしまうと、必要な皮脂までとってしまうことに。すると皮膚のバリア機能が落ちてしまい、免疫力の低下につながります。石鹸やシャンプーを使うのは 、3日に度にとどめましょう。
手浴・足浴でもOK
入浴できない時は、洗面器などにお湯を用意し、手や足を浸ける手浴、足浴も有効。42度ほどの熱めのお湯を使用することがポイントです。

ドクターQ&A

「先手必勝」で快適な春に「攻めの花粉症対策」

今や国民病とも呼べるほど患者が多い「花粉症」。
眠気などの副作用が出にくい市販薬が登場するなど、 花粉症治療は進化しています。
近年の治療事情を押さえながら
計画的なセルフケアを実践し、快適な春を迎えましょう。

大久保公裕先生 日本医科大学大学院医学研究科 教授
おおくぼ・きみひろ 1984年日本医科大学卒業。同大学院修了後、アメリカ国立 衛生研究所(NIH)に留学。日本医科大学耳鼻咽喉科准教授を経て、2010年よ り現職。医学博士。花粉症治療の第一人者として知られ、『花粉症は治せる! 舌下免疫療法がわかる本』(日本経済新聞出版社)など著書多数。

Q11月だけど鼻がムズムズ。もしかして花粉症?

A人によっては1月から症状が現れます。

スギ花粉の季節といえば2〜4月ですが、1月にはわずかな量の花粉が飛び始めています。そのため、この段階で鼻がムズムズしたり、鼻みずやくしゃみが出たりする人もいます。花粉症はシーズン当初からひどい症状が出るわけではありません。花粉を浴び続けてアレルギー反応を繰り返すうちに、鼻の粘膜の炎症が激しくなって症状が悪化していきます。花粉症対策は「先手必勝」がカギ。花粉を感じたらすぐに薬を服用し、重症化を防ぐことが大切です。

また、正しい対策をするには、自分が何のアレルギーか把握しておくことも重要です。花粉症とひと口に言ってもスギ花粉だけのアレルギーの人は多くはなく、ヒノキやブタクサなど他の植物の花粉やハウスダストなどに反応しているケースが珍しくありません。他にも鼻の粘膜がはなかびん過敏になる「鼻過敏症」や鼻のうみふくびくうちく中に膿がたまる「副鼻腔炎(蓄のう膿症)」、さらにはかぜの可能性もあります。こうしたことからも、花粉症と思っているけれど、実際に診断を受けたことがない人や、今シーズン初めて発症したと思われる人は、一度、アレルゲン(アレルギーの原因物質)を特定する検査を受けることをおすすめします。

Q2市販薬を活用する場合、どんな製品を選べばよい?

Aライフスタイルに合わせて選びましょう。

対症療法では、アレルギーを抑える「抗ヒスタミン薬」の内服薬が中心になります。花粉症の薬には、つらい症状を鎮めるものの眠気などを伴いやすい製品が多かったのですが、現在の「第2世代」と呼ばれる薬には、こうした副作用が出にくい製品もあります。中には服用回数が1日1回の物もあり、仕事をしている人や車の運転をする人、のみ忘れが心配な人にとって、大きなメリットになります。

これら第2世代の薬は、症状を抑えるという点でどれも効果に大差はありません。購入の際は、店頭の薬剤師に相談しながら、ライフスタイルに合わせて薬を選ぶとよいでしょう。また、副作用の感じ方は人それぞれなので、服用して眠気が気になる場合は、別の抗ヒスタミン薬を試すのも一案です。。

眠気がでにくい・1日1回の服用・水なしでのめる 様々なタイプがあるので、用法・用量を確認して、ライフスタイルに合う製品を選びましょう。

Q3花粉から身を守るセルフケアのポイントは?

Aマスクは必須。女性は化粧も役立ちます。

花粉が飛ぶ季節に気をつけたいポイントは「花粉に接触しない・吸い込まない」こと。特に花粉を吸い込む鼻の防御は必須です。花粉によって鼻の粘膜が一度炎症を起こすと、空気中に舞っているほこりやウイルス、細菌などにも敏感になり、症状が悪化してしまいます。今は花粉症専用のマスクでも化粧崩れしにくい物やゴムがきつくない物などがあるので、使いやすい製品を選びましょう。

また、女性の場合は化粧をしていると、花粉が化粧に付着して、鼻や目に入りにくくなります。クリームなどの基礎化粧だけでも効果は十分。帰宅後、そのままシャワーを浴びて化粧と一緒に花粉を洗い流しましょう。室内では、空気清浄機と加湿器が役立ちます。

自宅での対策 掃除…ほこりがたまりやすい家具の四隅などは入念に。毎日掃除するのが難しい場合は空気清浄機と加湿器で対応し、時間がある時にまとめて掃除しよう。 空気清浄機…人の動きがあるリビングは、花粉が舞いやすいので、空気清浄機は有効。 加湿器…人の動きが少ない寝室などは加湿器がおすすめ。花粉を湿らせてそのまま下に落とす。 外出時のスタイル(一例) メガネ…目のかゆみがひどい人は活用を。特に自転車やバイクに乗る時は必須。前方から花粉を受けないようにしよう。 化粧…花粉が化粧に付着することで、鼻や目に入るのを防ぐ。時間がない時は、クリームなどの基礎化粧だけでも○。 髪をまとめる…花粉は髪に付着しやすいので、目や鼻、首周りなどに散らばるのを防ぐ。帽子をかぶるのも一案。 マスク…マスクの上端の部分が顔にフィットして隙間がないようにするのが鉄則。 スカーフ・マフラー…皮膚に花粉が付着することで刺激になって、かゆみを招くことも。かゆみが気になる人は皮膚を露出しない工夫を。