冬の不調は食のチカラで解決!!​

漢方的なアプローチから食べ物のもつ力を見てみるとごく身近に、〝薬〟のような食材があふれていることに気づきます。
年末年始で忙しいこの時期、おいしく食べて疲れた心身を癒やしてあげましょう。

目黒西口クリニック院長

南雲 久美子 先生

なぐも・くみこ 杏林大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学、関東逓信病院、北里研究所東洋医学総合研究所での研修を経て、1996年より現職。東洋医学と西洋医学を融合した治療を行っている。

食べ物は“薬”になる知恵ある食で養おう!

「薬も食も源は同じであるという医食同源の考え方でいえば、食べている物は全て薬になるといっても過言ではありません。自然界にある薬効をもった物が、生薬しょうやく。身近な物では米も麦もお酒も全て生薬と考えられるのですよ」と南雲久美子先生。

日本でも古くからこの考え方があり、今でも残る伝統的な風習にそれを見ることができます。例えば、元日の朝に飲むお屠蘇とそ。酒やみりんに複数の薬草を浸した物で、胃に働きかける生薬を多く使っているのが特徴です。そして、1月7日の朝に食べる七草粥ななくさがゆには、正月で疲れた胃腸のケアに有効なセリ(生薬名・水芹すいきん)などが使われています。

漢方薬は基本的に生薬を2つ以上組み合わせます。生薬を組み合わせることで、単一で使う場合とは別の作用になったり、組み合わせる数によって効き方が変わったりします。

「漢方薬の芍薬甘草湯しゃくやくかんぞうとうは生薬を2種類しか使っていないので、効きめがシャープです。一方、生薬を多く組み合わせた漢方薬は、マイルドで多方面に効果があります。こういった特徴を踏まえ、何千年もかかって組み合わせを考えてきたものが現在の漢方薬なのです」。

私たちのごく身近にも存在する生薬。それぞれがもつ性質を知り、おいしく食べる〝薬〟として上手に取り入れていきましょう。

お屠蘇

お屠蘇は、桂皮けいひ山椒さんしょう防風ぼうふう白朮びゃくじゅつ乾姜かんきょうなど数種類の生薬を調合した屠蘇散とそさんを酒やみりんに浸し、薬効成分や香りを出した物。健胃作用をもつ生薬が多く、何かと負担のかかりがちな、年末年始の胃腸をいたわる飲み物という見方もできる。

七草粥

無病息災を願い、1月7日の朝に七草入りのお粥を食べる伝統行事。七草とは、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロのことで、ビタミンやミネラルを豊富に含み、健胃・整腸作用も備えている。正月で疲れた胃腸のケアにも適している。

冬におすすめ!健胃作用のある食材

“冷えは万病のもと”といわれるように、様々な不調の原因となりうる冷えを防ぐことが、冬を健康に過ごす基本といえます。漢方では冷えに対して、健胃作用のある生薬を多用します。

しょうが
生のしょうがは「生姜しょうきょう」、湯通し、または蒸してから乾燥させたのが「乾姜」という生薬名で、性質も異なる。生姜は香りがよく、胃を健康に保つ。乾姜は血行を改善し、じっくりと温める。生薬の中でも温め効果は抜群。
みかん
皮は「陳皮ちんぴ」と呼ばれる生薬で、胃の働きを活発にする作用がある。陳皮は七味唐辛子の香りづけにも使われている。
しそ
しその香り成分であるペリルアルデヒドが胃液の分泌ぶんぴつを促し、胃腸の働きを回復させる。
ねぎ
体を温め、胃腸の働きを整える作用がある。発汗を促し、かぜの予防にもおすすめ。
れんこん
胃の粘膜を保護する作用があり、胃腸の働きを高める。漢方では体を潤す食材の一つ。
山いも
粘り成分のムチンがタンパク質の消化・吸収を促す。滋養強壮作用、胃腸を丈夫にするのにも有効。

※その他の健胃食材としては、にら、にんにく、らっきょう、黒豆など。スパイス類では、山椒、ウコン、シナモン、白こしょう、クローブ、ナツメグなどが挙げられる。

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